【消費税】輸出還付金は補助金か?

消費税に関する論点の中で、「輸出還付金は輸出企業に対する補助金」という言説がありますが、今回はこちらの件について、実務家の立場から考察してみたいと思います。
Read Moreまず、消費税は課税売上に係る消費税額から、課税仕入等に係る消費税額を控除して計算することは、ご承知の通りかと存じますが、この「仕入税額控除」により、生産・流通過程での多重課税を回避する仕組みになっています。(合理的でよく考えられていると思います。)

出典:国税庁「消費税のしくみ」
それぞれの事業者において、発生原価に適正な利益を計上し、消費税を上乗せできれば、エンドユーザーである消費者が消費税10,000を負担し、事業者は不利益を負うことなく、納税手続きの義務だけを負うことになります。しかし、実際には価格が10%上昇した状態での需供関係による取引になることから、結果として事業者の営業利益が削られていることは、多くの皆様が指摘されており、弊職もそのように認識しております。(「消費税は賃上げを妨害している」は一定程度正しい。)
他方、輸出売上につきましては、「消費地課税主義」に則って「税率ゼロ」が適用され、図の小売業者と消費者(海外)間の売上に係る消費税がゼロになり、国から小売業者に仕入税額7,000が還付されます(輸出還付金)。仮に製造業者と卸売業者において、発生原価に適正な利益を計上し、消費税を上乗せできれば、小売業者に仕入税額を還付することで、商流の中で消費税による不利益を受ける事業者はいないことになりますが、現実的にそうはならないのは、国内売上と同じであると考えられます。
従いまして、国内売上か輸出売上かを問わず、商流の中で事業者が不利益を受けている状況が問題であり、仕入税額が国内売上だと控除、輸出売上だと還付に回るだけで、両者に実質的な違いはないと認識しております。国際的な価格競争力という意味では、たしかに配慮はされていると思いますが、輸出還付金自体は極めて合理的で、決して儲かる取引ではなく、利益が計上されない取引を補助金とするのは不適切、というのが弊職の結論です。

同じ理由で、「食料品の消費税率ゼロ」に伴って、「食品スーパーへの還付金は補助金」とする言説も不適切であると考えております。(特定企業を名指しで批判するのは甚だ疑問で、農家の皆様も同じ立ち位置であることに配慮すべきと考えます。)
関連して、「食料品の消費税率ゼロで飲食店が潰れる」につきましては、食料品が仕入側に計上される事業者において、仕入価格がきれいに8%下がらなければ、下がらなかった部分が事業者の持ち出しになることが想定され、例えば生鮮食品がきれいに8%下がることはありえません。加えて、テイクアウト(消費税率ゼロ)との税率差が大きくなり、外食離れによる減収も無視することはできないと思います。(こちらの方がより深刻かもしれません。)

最後に、やはり消費税は一律減税(できれば廃止)が望ましく、併せて法人税率を引き上げることにより、無税の損を計上しやすい環境にすることが、実質賃金マイナスを食い止める良薬であり、複数税率による事業者の事務負担を相当程度軽減できるメリットもあると思います。また、非課税売上を計上している事業者(メディカル等)に還付金がなく、エンドユーザーではないにも拘わらず消費税を負担している現状について、こちらも改善していただきたいと考えております。
エシックス&プランニング株式会社
代表取締役 澤村 喜久男








