「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について」(金融庁)
金融庁は2023年3月24日、「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について (令和5年度)」を公表しました。主な内容は以下のとおりです。(リリース・添付資料から抜粋)
Read More1. 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項について
(1) 新たに適用となる開示制度に係る留意すべき事項
2023年1月に施行された企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する
内閣府令 (主にサステナビリティに関する企業の取組みの開示及びコーポレート・
ガバナンスに関する開示についての改正)
(2) 有価証券報告書レビュー (2022年度) の審査結果及び審査結果を踏まえた留意
すべき事項
① 法令改正関係審査
・ 「収益認識に関する会計基準」の公表を踏まえた財務諸表等規則等の改正
・ 「時価の算定に関する会計基準等」の公表を踏まえた財務諸表等規則等の改正
② 重点テーマ審査
・ 収益認識に関する会計基準
・ 重点テーマ以外の主な項目
2. 有価証券報告書レビューの実施について (2023年3月期以降)
(1) 法令改正関係審査
2023年1月に施行された企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する
内閣府令
(2) 重点テーマ審査 (2023年3月期以降)
サステナビリティに関する企業の取組みの開示
(3) 情報等活用審査
その他、適時開示や報道、一般投資家等から提供された情報等を勘案して審査
詳細については、金融庁ウェブサイトをご覧ください。
有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について (令和5年度)
また、同日付けで「記述情報の開示の好事例集2022」の更新版が公表されています。(「コーポレート・ガバナンスの概要」「監査の状況」「役員の報酬等」「株式の保有状況」を追加)
「記述情報の開示の好事例集2022」の更新
収益認識に関する会計基準 (2022年度レビュー)
2022年度レビューの重点テーマ審査「収益認識に関する会計基準」について、審査結果を踏まえて、全般的な留意事項として「 ① 開示の重要性に関する適切な判断」「② 一貫性のある明瞭な開示」が示されている他、以下の9の課題について、個別の留意事項が示されています。
① 主要な事業における主な履行義務の内容及び履行義務の充足時点の記載が抽象的である。
② 履行義務の内容等と収益の分解情報やセグメント情報等との関係性が不明瞭である。
③ 重要性等に関する代替的な取扱い (出荷基準等) を適用したにもかかわらず、その旨の記載がない。
④ 一時点で充足される履行義務について、財又はサービスの支配を顧客が獲得した時点を評価する際に行った重要な判断の記載がない。
⑤ 一定の期間にわたり充足する履行義務について、収益を認識するために使用した方法及び当該方法が財又はサービスの移転の忠実な描写となる根拠の記載がない。
⑥ 不動産賃貸収入などのリース収益を顧客との契約から生じる収益に含めて開示している。
⑦ 単一セグメントであることや履行義務の充足時点が全て一時点であることのみを理由として、収益の分解を行っていない。
⑧ 契約資産及び契約負債の内容の説明がなく、履行義務の充足の時期と通常の支払時期が契約資産及び契約負債の残高に与える影響に関する記載がない。
⑨ 実務上の便法を適用し、残存履行義務に配分した取引価格の総額等の開示を省略したにもかかわらず、その旨の記載がない。
令和4年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項
退職給付に関する会計基準 (2022年度レビュー)
2022年度レビューの重点テーマ以外の主な項目の中で、「退職給付に関する会計基準」に関連して、以下の指摘が挙げられており、状況に応じて開示チェックリストの見直し、集計EUCのメンテナンス等の対応が必要と考えております。
【 年金資産に関する表示の誤り 】
令和4年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項
・ 複数の退職給付制度を採用している場合、1つの退職給付制度に係る年金資産が当該退職給付制度に係る退職給付債務を超えるときは、当該年金資産の超過額を他の退職給付制度に係る退職給付債務から控除してはならない (退職給付に関する会計基準第13項注1) 。
・ 連結貸借対照表において、本来、年金資産 (退職給付に係る資産) と退職給付債務 (退職給付に係る負債) を相殺せずに表示するべきであったにもかかわらず、相殺されて表示されている事例があった。
【 退職給付に係る調整額に関する開示誤り 】
・ 退職給付に係る調整額 (その他の包括利益) は、連結包括利益計算書注記及び退職給付関係注記において開示される (包括利益の表示に関する会計基準第31項(4)、退職給付に関する会計基準第30項(3)~(8)) 。
・ 退職給付関係注記における①数理計算上の差異の発生額と費用処理額及び②過去勤務費用の発生額と費用処理額が、連結包括利益計算書関係注記における退職給付に係る調整額 (当期発生額と組替調整額) と整合していない事例があった。